小さな蔵だからこそ「季節仕込み」を貫く
Company
毎年11月、地元江迎で収穫された酒米が届いて始まる仕込みは、数人の職人たちの五感を頼りに、ときには夜を徹して進められ、翌年3月まで続きます。
機械を使い、工場の温度・湿度管理をすることが当たり前の現代において、当社では先祖から受け継いだ古い蔵で、季節に合わせた酒造りを行っています。
よく「酒は生き物」と言われますが、毎年全く同じ気候条件になることはあり得ない中で、気温や湿度などを肌で感じ取り適切なタイミングで作業し管理を行うには、職人から職人へと受け継がれてきた知識、また年月をかけて積み重ねた経験が必要になります。
手間も時間もかかる方法ですが、私たちのような地方の小さな蔵だからこそ、あえて季節に沿った酒造りをすることで生まれる旨い酒があると信じています。
地の水・地の米・地の人
Wish of Senryu sake brewing
それらの素材に最後に加わる職人の技。「酒は生き物」と言われる所以の麹作りはたいへん繊細な工程ですが、当社ではこれも手作りで行っています。発酵食品である日本酒は、麹菌の働きがなければ造ることができません。良い米麹を作ればそれだけ旨い酒につなげることができるため、麹作りはとても大切な作業と言えます。
米麹の働きがあってこそ生まれる酵母のプチプチとささやく声を聞きながらの酒母造り、じっくりと時間をかけて見守る醪(もろみ)造りを経たのちに迎える搾りの行程では「槽(ふな)しぼり」を行っています。酒袋を並べ上からの圧力でゆっくりと時間をかけて搾る槽しぼりは、雑味のない酒と栄養価の高い酒粕をもたらす昔ながらの方法ですが、酒袋の並べ方が難しいため、職人技が成せる工程とも言えます。
こうしてできる、江迎の地が生んだ国酒として誇るべき「日本酒」は、かつて平戸のお殿さまも愛した味わい深い逸品として、地元はもとより全国の方にご愛飲いただいています。